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スカイ・ハイ

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一期一会

ES細胞と不老不死


人間は死ねない事ほど不幸な事はない!と誰かが言いました。
人は生まれた瞬間から老い始め、誰でも100%死を迎える。
その中で出逢いと別離を経験する。そして全ては過去の記憶となり、最後は
目の前の映像が遮断されるのだ。100年の寿命が200年に延びたとしても、
例外無く肉体はその機能を停止する。嫌でもこの世のゲームオーバーを迎える。
幸せの絶頂にいる時は〃時間よ止まれ!〃と思いたくもなりますが、
軈てそれも記憶の彼方へと旅立ってしまいます。
満開の花びらと共に、散華する花びらに心が奪われるのは、老いて死ぬという
生物共通の天律に無意識に共鳴するからであろう。

哲郎は機械の体を求めて銀河鉄道999に乗った.....
絶大な権力を手中に収めた秦の始皇帝は、不老不死の妙薬を求めて
特使〃徐福〃に夢を託したが、その夢は叶わなかった。
古今東西のオカルティストは錬金術や錬丹術による不老不死を探求し、
現代の超富豪達は自分のクローンに莫大な金を投資する。

年間30万人近くが自殺する中国を除いて、先進国の中で自殺者が最も多い日本が、
(年間約3万人)長寿大国というのは皮肉な話ではありますが、2004年統計では、
男性は平均寿命78,64歳で、アイスランドの78,8歳に次いで2位。女性に至っては、
20年連続一位で、85,59歳だそうです。この高齢化社会に向けた再生医療の鍵を握る
ES細胞の研究では、日本も世界のトップレベルにあると言われております。
このES細胞(embryonic stem cells)は胚性幹細胞と呼ばれるもので、
受精卵が細胞分裂を始める初期の段階で、〃胎児になる前の未熟な細胞群〃を
取り出し、それを分離して培養増殖させて完成したもので、マウス実験により、
ES細胞は、組織片としての増殖能力、そして身体組織や臓器に多分化する能力が
立証されたのです。ゆえに万能細胞と呼ばれますが、死亡胎児から採取する細胞は、
EG細胞=胚性生殖幹細胞(Embryonic Germ cell)と呼ばれ、イメージ的には
〃水子細胞〃だそうで、水子をバラバラにして新しい組織として蘇生させる、
ある意味水子のリサイクルとも言えます。
他に成人の骨髄から取り出した 骨髄性幹細胞があり、ES細胞より性能は劣ると
言われてますが、こちらは倫理面をクリアできる。
しかしながら今年3月9日の国連総会で、ヒトクローンの全面禁止宣言を賛成84カ国、
反対34カ国、棄権37カ国で採択されましたが(アメリカは賛成、英国や日本は反対)、
別に法的規制があるワケではありませんが、規制に向けた宣言であります。

※宣言内容    加盟国は人間の尊厳に反する遺伝子技術の応用を
          禁止する必要な措置を取るべきである

21世紀の社会を支える科学技術は、
細胞工学・遺伝子工学・バイオテクノロジーと言われておりますが、
全面禁止に賛成票を投じたキリスト教国アメリカも、細胞工学の流れには逆えず、
国内の反発なども受け、5月に下院で緩和法案が可決され、8月にはホワイトハウスが
倫理面に反しない、規制に引っかからない代価細胞の研究を推進する方針を打ち出した。
もう一つ、世界中で跋扈する臓器売買を一掃するのか、それとも拍車をかけるのかと
言う裏ビジネスの問題も、これからクローズアップされるでしょう。
一方反対票を投じた日本は、東洋的な価値観から、ミレミアム・プロジェクトの
一環として、倫理的側面を考慮した、卵子もクローン胚も必要としない幹細胞の
研究に着手していく模様です。
アルツハイマー病や糖尿病、そして事故などによる損傷部位への細胞治療が目的で、
大量生産可能な細胞ですから、高齢化社会には適合するでしょうが、
暴飲暴食贅沢三昧で癌になりました。でもES細胞で一発で直りますよ!お客さん♪
そんな社会だけは勘弁して頂きたいものです。生を軽んじるのも愚かであるが、
生にしがみつくのも愚かであろうと思うのであります。
by gyou-syun-u | 2005-09-17 20:44 | 科学

by gyou-syun-u