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スカイ・ハイ

harock.exblog.jp

一期一会

butterfly effect


先日「バタフライ・エフェクト」と言うビデオを見ました。
日記を読むと時間を遡り、過去に戻れるという能力を持つ主人公が、ifを繰り返し
周りの人間をハッピーエンドの結末に導こうとする映画です。
平行宇宙的に考えると、ifが可能なら一人の人間に無数の人生が存在する。
その中のたった一つの人生を我々は認識しているに過ぎないと言う事になります。
あの時あぁすればこんな結果にはならなかっただろう......と悔やんだ経験は誰にでも
あると思いますが、人生にifは禁句なのかもしれない。同じ人間が過去に戻っても、
また同じパターンを繰り返すだけで、あまり意味は無いと思われます。
結果オーライではなく、失敗や成功その過程に醍醐味があるのだと信じたい。

このタイトルは、天気予報はなぜ当たらないかを説いたMITの気象学者だった
エドワード・ローレンツのカオス理論で、その特質は初期条件が僅かでも狂うと
最終的には全く違った結果を生み出すと言うもので、「ブラジルでの蝶の羽ばたきが
テキサスで竜巻を引き起こすか?」と言う講演から蝶々効果と呼ばれるものです。
直接的な因果関係を示す〃線形〃に対して、カオス理論は〃非線形或は複雑系〃
と呼ばれる。ある規則を前提にして予測出来る線形に対して複雑系は最初のズレが
僅かでも違うと全く予測不可能な結果を生む。つまり予測することが難しい。
ここに時間と空間という異なる性質を持つ世界に包まれる我々生命体の因果律が
存在します。このカオス理論は脳や心の領域と言った複雑系に当てはめる事ができ、
絶えず修正または自分を律する行為を反復しなければ、ほんの僅かな心の迷いや
揺れが、知らない内にトンデモナイ結果を招いたりもします。
心の性質であるブレが時には良い方向へ行く時もあるだろうし、自滅する場合もある。
時間の矢は過去から未来へと飛んで行きますが、時間は万人に平等に与えられるもの
でありながらも、その状況次第で1日がえらく長く感じたり、あっと言う間に過ぎたり
しますね。時間は確実に時を刻んではいるけれど、使い方次第で多少のコントロール
ができる。例えば瞑想する場合、その時空は明らかに日常の時空と異質なものであり、
特に重力を意識しない瞑想は、まるで時間を支配した様な錯覚に陥ります。

我々が過去を思い出す時、脳細胞の時間の矢は当たり前の様に未来へ飛んでいますが、
心は過去や遠い未来へ飛んでいます。ここが心が非物質性で、時間の反転をも
含めた素粒子の非局所性(物質から波への変換)と共通するものがあります 。
量子力学の多世界解釈や荘子の胡蝶の夢に共通する実体と虚像の狭間をヒトは
どう認識しているのかという問題で、我々は観測者であると同時に観測対象物でも
あると言う事です。自己をみつめると言う時は観測者も観測対象物も自分です。
光の2重性(光は粒子であり波である)や、シュレディンガーの猫のように、
人間も生きてる状態と死んでる状態が表裏一体で存在し別世界を構成する。
このような考えは霊魂を考える上では都合が良い。人間は複数の時空、又は場の
集合体、肉体の動きも静と動と組み合わせ、更に宇宙は無限性を持った有限体。

〃思考停止〃という言葉は悪い意味で捉えられる事が多いけど、インスピレーション
を受ける時などは思考の産物とは別物で、時間軸を離れた所から突然それはやって
来ます。時間はあらゆるものを支配しますが、流れる限り時は刻まれ、それが止まれば
世界は死んでしまう。思考する時は情報を分離、分割して改めて整理するという作業を
繰り返しますが、思考停止はその分離した情報を元の海に戻す。あらゆる情報を優しく
包括する大いなる海は、思考そのものも包み込もうとする。思考停止の危険性は
ポジティブかネガティブかで決まる。停止の先に在るものを見据えない限り、八方
塞がりの迷路に安住するだけであります。 
過去に戻っても切なくなるだけ。失った時間を取り戻す事はできない。
高速度カメラで撮った画像をスローで再生するように、時間を捉える事ができるなら
ヒトは間違いをいち早く修正できる余裕が生まれるのでありますが.....そうもいかない。
世界のどこかで目覚めた小さな喜びが、何時の日か巨大なシナジー効果を生み出す。
逆もまたしかり。せつないハッピーエンドもまた楽し.......
by gyou-syun-u | 2006-03-23 10:32 | 科学

by gyou-syun-u