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一期一会

靖国問題

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TVや新聞で、中国や韓国が執拗にいちゃもんを付ける靖国問題でありますが、
何でそれ程迄に?という想いがあったのですが、哲学者の立場からこの問題を
正面から、分かり易く論証した話題の本〃靖国問題(高橋哲哉著 ちくま新書)〃
を読んで、全てが同意では無いものの、自分の見方や歴史認識の軌道修正や
考えさせられる点が多々ありました。
小泉首相の「その国の弔い方に他の国が干渉するのは如何なものかと思います」と
言うコメントと同じスタンスだったのですが、もうちょっと考えてみようかなと。

靖国神社のスタートは、1869年(明治2年)に東京招魂社の創設から始まり、
10年後に「靖国神社」と社号を変えて以来、明治維新から大東亜戦争までの戦死者
(軍関係者)を祀っており、合計約250万の霊が護国の神として祀られているそう
ですが、著者が強調するのは、祀られた英霊が護ろうとしたのは、植民地政策を
押し進めた「植民地帝国」と言う名の国であり、その思考をマインドコントロール
してきた元凶が、靖国神社という〃祀りのシステム〃であると論じる。
つまり、「神国である日本の為に戦って死ねば神になれる!」という国家の
アイデンティティーを植え付け、いつでも天子(天皇)様のお側に居れるという
幻想を、国家的弔いに位置付けて増幅させる手法で国民を操作する、という体質
そのものが本質であると著者は述べている。
更には神社神道を宗教から分離し〃超宗教〃と位置付ける事は、他のあらゆる宗教
を国家神道に従属させる事であるとも述べています。この根本にあるイデオロギー
操作が、〃日本の伝統〃というオブラードに包まれた靖国神社の本質で、
母体である日本独特の神社神道にも言及する。

台湾・中国・韓国の旧植民地遺族側からの「夫は強制的に連行され戦わされた訳で、
日本国の為に喜んで死んだのでは断じて無いから、祀るのは辞めてくれ!」という
要求にも靖国は断固応じないのである。日本人遺族においても同様である。
靖国の言い分は、戦死者の合祀は天皇の意志であり、遺族の意志とは無関係に
行われたものであるから、誰であろうと取り下げる事はできない!....である。
靖国神社という時空においては、未だ天皇が神として君臨しているというワケで、
霊的に言えば結界を張ってるという事なんですが。。
まぁ神社には神が必要だから当然と言えば当然なんですが、国政と密接に連動して
いた事が、感情論や文化論を超えて、いつもクローズアップされる問題です。

靖国問題をクリアする一つの方法として、靖国に代わる「国家的慰霊施設」
の設置があり、宗教法人から宗教性を除外した特殊法人にするという案である。
1974年に靖国法案として、儀式や名称の変更や祝詞の内容迄、細かく変更したも
のが各政党から提出されており、当然ながら、そのような案は神霊不在の正体不明
の神社になると言って、靖国は受け入れなかったそうです。
そして、もし国が靖国神社に対して特殊法人化を強制すれば、宗教に政治が介入
するという、政教分離に反する違法行為であるから、それもできない。更には、
2002年に「無宗教の国立追悼施設」についての報告書が提出されたそうですが
(このような施設であるなら中国や韓国は認めるのであるが)、無宗教なので、
祀るとか慰霊するとか鎮魂するとかいう性格ではダメだ!とか
賛否両論あったそうで、色々難しいみたいですね。

靖国神社の基本的なスタンスを引用すると......
「靖国神社は憲法にいう宗教ではない。日本人なら誰でも尊敬すべき
 〃道(道徳)〃である。靖国神社のこの本質と祭祀の内容は、戦前も戦後も、
 また将来、靖国法案が成立して国営化された後も全く変わらない。」
         .........だそうです。

個人的には、日本は世界の中の特殊法人と思ってる訳ですが。。。
只、日本人としての誇りは持ちたいとは思いますが、
日本国の為とか、そういう気持ちはサラサラございません。


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by gyou-syun-u | 2005-08-06 22:14 | 世界情勢

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