人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

スカイ・ハイ

harock.exblog.jp

一期一会

2001年宇宙の旅


この映画は今一度スクリーンで観たい映画のひとつであります。
既に多くの方がレビューを書かれているので、今更と思いながらも、
私も一言書いておこうと思います。
小説を読んだのは最近の事で、映画でカットされた場面や描写できなかった
意味を読む事ができ、それなりの面白さはありましたが、小説と映画では受け取る
イメージが若干違います。映画はナレーションが無く、オリジナル音楽無し!
会話も色彩も最小限!スターウォーズとは正反対です。
文庫本の解説によれば、欧米では中年よりも若い世代に受けた様です。
ディスカバリー号は精子をイメージした様で、今風ではありませんが、
かえってそれがスゴク新鮮に映りました。
1968年の公開にしては、各々の模型が精巧に作られており、VFXとは違う
リアリズムを感じます。映画公開翌年の1969年のアポロ月面着陸は、実は巧妙に
作られたプロパガンダ映画であるというネタも、そうかしら!?と思える様な錯覚を
覚えます。エイリアンや奇抜な衣装を披露しなくても、漆黒の宇宙や静かなる
闘争を描ききれてる感じがして無音の響き、聞こえない声がこちらに聞こえる.....
そんな映画でした。
突如出現したモノリス(石柱)の波動を受けたヒトザルが骨を使う事を覚え、
やがて獲物を捕る道具に使われる。破壊という行為を覚えたヒトザルの振り下ろした
骨の欠片が空高く舞い上がった次の瞬間、欠片は宇宙船に変わる。
このシーンは印象的で、これだけでも十分に価値はあったと思いました。

アーサー・C・クラークはスタンリー・キューブリック監督と共に、
この先何十年経っても色褪せない、未来を先取りする映画を作ろうと企画した
そうで、脚本と小説は同時進行で書かれた様です。
地球、月、木星に設置された各辺が1:4:9の比率であるモノリスは異星人
(意識生命体)の装置で、人類の各時代のシフトを操作する役目を担っており、
3001年のモノリスは人類の滅亡に関わるとされます。
異星人が地球の種を蒔き、太古の昔から地球人を監視していたという設定ですが、
その存在が善であるか悪であるかは映画も小説も触れてはいませんが、異星人も
進化し続けた意識のみの生命体でありながら、自分たちの祖先に思いをはせる。
人口知能のHALはミッションの目的を知っていたが、ボウマン船長は知らされて
いなかった。HALは高度な人口知能と人間的な悩みの間で葛藤しミスを引き起こす。
それに気付いたボウマンがHALの接続を切り、ひとり木星(小説では土星)に向かい
最後はスターゲートのモノリスに突入し、光の廊下を突き抜け意識の変貌を遂げる。
スターチャイルドの仲間入りを果たし、地球を眺めるのだ......
精神世界に親しんでいる人ならば、一般の人達よりは映画のメッセージは何となく
分かるような気がします。私は輪廻をイメージしましたが、全ては受け手が感じ
取れば良い事でしょう。
意識エネルギーの生命体と言う捉え方は、物の理を解明し尽くした先の当然の
成り行きとして、万物は母なる無形の存在に帰結する。
物事を成し遂げるには道具が必要で、その使い方一つで方向性は変化する。
チップに刻み込まれたメモリはやがて空間を飛び超え、悠久の宇宙そのものと
同化し、2010年宇宙の旅では、ボウマンとHALの意識は融合してしまう。
科学の象徴であるHALと人間ボウマンの融合、どちらも不完全な要素を抱えながらも
融合の道を歩んでいく....循環と融合、その様にも受け取れる映画でした。
by gyou-syun-u | 2005-11-21 21:03 | 映画

by gyou-syun-u